
義兄の本音を聞いた私はどうしようか悩みました。義兄の本音は分かったものの、これからどう行動すればよいのか。
完全修復は無理でしょう。それでも、二人が夫婦を続けるメリットがデメリットに勝てば離婚はしない。
本音では姉は私に義兄は浮気していなかったという言葉が聞きたいんです。義兄を許して夫婦生活を続けるきっかけがほしい。義兄も離婚はしたくなさそうでした。
ならば、その言葉を探すのが私の役割だということでしょう。二人の接着剤にならなければならない。
以前読んだ冤罪ノンフィクション小説の、検察は自分の考えたストーリーを容疑者に押し付けるという件(くだり)を思い出します。
破綻がなく説得力がある程度担保されている話を姉に伝えればいい。
「義兄と逢瀬していた女性は会社の部下で仕事で助けてもらっているうちに義兄に好意を抱き誘っているが、義兄は女性として見ておらずあくまで大切な部下だから親身にしているだけである。それが傍からみると親密な関係に見えてしまっている。」
こういった筋書を考えました。
この筋書きの元、姉から教えてもらった義兄と不倫相手のラインを精査します。
まぁ一部はこじつけになるが、解釈しだいでなんとでもなるなと思いました。
そして、姉の家にいつものように行き、義兄は浮気をしていなかったと伝えます。
姉は半信半疑というより、当初は2信8疑くらいでしたが、そもそも浮気をしていないという答えを何より欲しているはずです。
私がいやいや、このラインはそういう意味じゃないよ。
姉さんは女性だからそういう風にとるのは無理ないけど、男の自分からしたらそうではないよ。みたいなことをその都度言いました。
この男目線というのは便利な言葉で、女性が男になりようがないですしその逆もしかり、100%否定することはできません。まぁある意味卑怯なんですが、今回のような場合は有効な一手になります。
それでも浮気をしていない証拠にはならないじゃないという姉に、姉さん、していない証明は無理なんだよ、悪魔の証明だよと若干突き放します。
喫茶店での会話を聞いたけど、義兄は上司としての立場を崩していなかったしもし下心があるなら取り繕う必要なんてないでしょ、全力で口説きにかかるかイチャイチャしているよと言いました。
実際はバーでデレデレしていたのですが、バーだと生々しいので喫茶店に変更しました。
私のこの報告に頑なだった姉の態度はほぐれていき、最後は納得し、多少機嫌がよくなります。
結果、義兄は不倫をしていないという解釈になりました。義兄も私の前では強がっていましたが、離婚はしたくないはずです。離婚をしたくないからこそ姉の機嫌をとるような言動をしていたのでしょう。
とはいえ根本的には何も解決していません。結局のところ離婚騒動の本質は姉のメイちゃんへの態度と感情です。
しかしそこはもうどうしょうもない。身体の中にできた腫瘍のようにもので、手術しようとすると破裂して肉体が息絶えてしまう。ならば放置して刺激しないほうがいい。
離婚問題が解決して今回のことを一人で考えました。
確かに姉にも問題があるが、義兄もひどい。義兄は結局のところ家庭から逃げてしまった。姉がメイちゃんに辛く当たるのを見たくないという理由でまともに家に帰ってこなくなってしまった。
母親の娘への愛がどうこう言うのならば、父親の自分が娘と接する時間を増やせばよかったんです。
ということを考えましたが、誰にも言えません。家庭も定職もない私が言う資格なんてないからです。人の親になることの責任の重さは、独身の私には分からない。
どこまで行っても人の親の気持ちは分からない。
それでも私にできることはあるだろうか。
メイちゃんで気になることといえば、外出するとき手をつなごうとすることです。小学生のときは可愛いなと思っていたのですが、中学生になっても高校生になっても変わりません。大学生になってもそうなので、はっきりいって奇異です。
それで、一度レイちゃんと出かけたときに試しに私から手をつないでみました。
そしたら、え?え?なに?どうしたん?やばいって、と反応していたので、これが正常な反応だよなと思いました。メイちゃんが云々はいえないのでまぁまぁいいじゃんといったら、うわーやば!きもおじ!と暴言を浴びせられたので、嫌がらせでずっと手をつなぎました。
それにしても手をつなぎたがるというのが愛着障害の症状なのか……いや愛着障害なんてしったようなことをいって素人が勝手に診断しても意味がないか……よくない男に依存してしまうのではないかと不安になります。
メイちゃんはしっかりしていて家事を完璧にこなすし、勉学も疎かにしていません。一方レイちゃんは家事が嫌いで勉強が嫌いです。
それでも私からみるとレイちゃんのほうが自立しているように思える。メイちゃんはふとしたときに幼さを感じる。
ただ本人が何も言っていないのに、精神に問題があるかもしれないから専門家にカウンセリングしてもらおうと提案するなど論外ですから、結局のところ見守るしかありません。
もどかしいですが、以前読んだ小説で何もしないというのも選択肢の一つだというフレーズを思い出しました。何もしないことが最良の選択肢。
結局の所、人の感情や好悪をコントロールすることはできません。
それなら私ができることは姪たちに私は何があっても味方だからと普段から態度で示して、何かあったとき一時的にでも避難所になれればそれでいいかと思いました。
元々発端は、レイちゃんが電話してきたことなので、レイちゃんに離婚はしないことになったと報告しました。ほっとしていました。
しかし人の家庭のいざこざでここまで精神が摩耗するなら自分が結婚して離婚するような事態になったらと想像するだけで面倒くさすぎて溜息が出ました。私は結婚しないほうがいいんだろうなと思いましたが、まぁそもそも結婚できないから問題はないのでしょう。
こうして姉夫婦の2回目の離婚危機もなんとか収束しました。

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