素人探偵の日々が始まりました。
義兄がオフィスから出る時間帯を姉から聞いて、張りこむことにしました。交通費などの経費は姉持ちです。
変装して誰かを見張っているだけで探偵になったような気がします。と余裕があったのも最初だけで、ただ一点を見張るというのは想像以上に難しいものでした。
不審者に見られてはいけないですし、夜遅いですし、ずっと目をこらさないといけないため本も読めない。まだ寒い時期じゃないからよかったが、冬ならやってられないな……
一度不倫を調査する探偵になりたいと思ったことがありましたが、やらなくてよかったと心底思いました。
オフィスの出口を見張って1時間、義兄が出てきました！こんなに義兄の顔を見て嬉しかったことはない。
不倫相手は……いないようです。残念。しかし待ち合わせしてラブホテルに行く可能性があります。
義兄はそのまま駅に向かいました。まっすぐに帰ってこずに不倫相手と待ち合わせする可能性があるので尾行します。
そしてそのまま義兄は帰宅しました。空振りです。徒労感がはんぱない。
二日目！今日こそラブホで盗撮だ！と意気込んだところ義兄は1日目と同じようにまっすぐ帰宅しました。もうこの時点でやる気がなくなっています。
三日目！今日こそラブホで盗撮だ！と気合を入れましたが空振り。
四日目……そろそろラブホいってくれないかなぁ……と祈るように見張っていましたが、義兄はまっすぐ家に帰ります。
五日目……やめる言い訳を探していました。想像以上に辛い……でもおねーちゃんのためだ！頑張ろう！となぜか子供のときの自分を思い出していました。
この日もどうせまっすぐ家に帰るんだろうなと張り込みを続けていました。オフィスから出てきた義兄に微妙に違和感を感じます。
歩幅が微妙に早い……
なんだかウキウキしているように見えます。普段は残業の疲れが残る重い足取りなのに……
尾行を始めると、帰宅時にいつも曲がる道を左ではなく、右に回りました。駅とは逆方向です。義兄はスマホを見ながら歩いています。
そしてお店に入っていきました。オシャレなバーです。
ガラス超しにみると女性と話しています！私は少し考えた後店内に入りました。外で様子をうかがっているより、得られるものがあるだろう。
義兄と女性は中央当たりに横並びで座っていました。義兄の表情が締まりがない……ああこれはもうデレデレだ……
私は義兄たちから四つほど離れた席に腰を下ろしました。
バーテンダーにジントニックを頼みます。
それにしても……不倫相手を勝手に３０代半ばから４０代ぐらいだと予想していたが……それよりもずっと若い……学生だといってもおかしくない。
私はいろいろな想像をしました。 続
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