女性の圧倒的な転落を聞いた無職

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Amazonのオーディオブックで「絶叫」を聞きました。半分だけネタバレで書いていきます。

40代の女性がマンションで孤独死し、そうなった経緯を女性刑事が追っていくという筋書きです。

孤独死した鈴木陽子は普通の女性で何か秀でた所があるわけではないが、劣ってもいない中庸な女性です。

そんな彼女が転落していく様は見ごたえがありました。鈴木陽子は母親から愛されませんでした。父親は家族に無関心で、母は弟を溺愛して彼女を疎んじています。

それでも中学の美術部の先輩であり初恋の男性と結婚して人生で初めて自分の居場所を得るんですが、子供ができず、浮気をされてしまい離婚します。

父親は株で失敗して失踪、家を抵当に入れており売却することになったため実家に住むこともできなくなりました。その際、鈴木陽子は母親とアパートで一緒に住むと当然のように思っていましたが、母親は自分の兄に面倒を看てもらう選択をします。

一人になった彼女は居場所を作るためにはお金が必要だ!と強く思い、高給を貰える職業を探した結果、保険外交員として働くことになりました。

歩合制であり結果を残せないと短期間でクビになるので、必死に営業をしましたが一件すら契約を受注できません。

イケメン上司に叱責され、あなたは本気でやっていない!と詰められた彼女は、友人、知人に手当たり次第に連絡、泣き落としなどの手法を使って何とか契約を受注できました。そして、コツをつかんだ彼女はコンスタントに契約を受注する敏腕営業になります。

そのことをイケメン上司に認められて不倫関係になりました。ずっと冴えなかった人生の彼女でしたが、不倫とはいえイケメンを恋人にして、手取りで50万程度稼ぐようになります。

家庭を壊すつもりもなく、抱かれて褒められているだけで彼女は幸福でした。

しかし、そのうち稼げなくなりました。稼げなくなった彼女に冷たくなった上司は彼女を相手にしなくなり、手取りも20万程度になってしまった。

稼げなくなった理由はシンプル、ようは友人、知人をメインに保険を売っていたわけですから、人脈が枯渇してしまったわけです。どれだけ必死にやっても契約が取れない。

保険の外交員は入れ替わりが激しく、ようは会社も社員の人間関係を換金させることを前提にしていたということ。

窮地に追い込まれた鈴木陽子は、20代前半にしてトップの成績を誇る同僚の言葉を思い出して実践します。枕営業です。

気持ち悪いおじさん達を相手に身体を使い何とか契約を取ることができた鈴木陽子。これでイケメン上司も振り向くかと思いきや……

イケメン上司は20代前半のトップ営業の女性部下に心底惚れてしまった結果ストーカーになり彼女の家に不法侵入した。結果として職場を去ることになります。

そして会社の窓際おじさんから、イケメンは部下と寝ることで、自分に尽くすよう調教していたといわれました。

自分にこの仕事を紹介した先輩女性もある日いきなり辞めたわけですが、鈴木陽子のようにイケメン上司と関係があったわけです。あの幸福の日々は全部幻想だった。

鈴木陽子は保険の外交員をやめて、デリヘル嬢になります。

ここまででも結構壮絶でしたね。ここから更に加速度的に人生を転落していくわけですが……最後に全ての元凶ともいえる母親と対峙して言います。

「生まれたくなんてなかったよ! 選べるのなら、別の家の別の子に生まれたかったよ! あなたに愛されたかったよ! それでも、私を産んでくれてありがとう!」

まさに絶叫であり、魂の叫びです。母親は実家の兄に頼ったが、兄が亡くなって実家を追い出されて、鈴木陽子の仕送りで暮らしていました。

それで、生活保護を受給しようとしたのですが、娘の陽子に連絡が行きます。まず家族が援助できないか行政は打診するわけですね。

娘に頼ることが屈辱だと考えている母親に嫌がらせするために鈴木陽子は母に仕送りすることにしました。母親が溺愛していた弟は中学生のときに虐めを苦に自殺しているので母親も家族は陽子しかいません。

夫も息子もいなくなっても娘に頼るどころか、娘のことはずっと疎んでおり、仕送りにも全く感謝しなかった。母親目線の話も聞きたいと思いましたね。

ミステリーですので当然作中に仕掛けられた謎もありますし、とても面白かったです。鈴木陽子はずっとずっと自分の居場所を探し続けます。

人間は自分がいてもいい、いると安らぎが得られる場所が一つは必要です。その居場所を親に与えられなかった鈴木陽子の人生は壮絶で、まさに藻掻くように生きます。その生きざまが読者の心を打つ。

結論としては生きていくのは男も女も大変なのだということで失礼します。



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